トラベラーズノート ブラック、使い続ける理由。

トラベラーズノート ブラック、使い続ける理由。

新しいノートに買い替えない理由が、このブラックにはある。育てることと黒であることが、同じ方向を向いている。

ノートを新しくするたびに、何かがリセットされる感覚がある。

それが嫌で、ずっと同じものを使い続けている。トラベラーズノート ブラックは、育てることを前提に設計されている数少ないノートだと思う。

経年変化について

牛革のカバーは、使うほどに変わる。

新品のブラックは均一で硬い。数ヶ月持ち歩くと、よく触れる部分が柔らかくなって表情が出てくる。角が擦れて革の地が見えてくることもある。それが劣化ではなく、記録の集積として見える設計になっている。

黒い革の経年変化は、茶や焦げ茶と違って派手に色が変わらない。代わりに、光の当たり方によって見え方が変わる深みが出る。静かに変化するものが好きなので、これが合っている。

構造のシンプルさ

ゴムバンド一本でリフィルを挟む。

それだけの構造なのに、ほぼ何でも挟める。方眼リフィル、クラフト紙、週間スケジュール。自分の使い方に合わせてカスタムできるノートは多いが、ここまでシンプルな仕組みで成立しているものは珍しい。

シンプルな構造は壊れにくい。十年使っても、ゴムバンドを替えれば続けられる。

書くための余白

トラベラーズノートは、きれいに使うためのノートではないと思っている。

革のカバーには傷がつくし、リフィルは入れ替わる。ページの端が折れることもある。そういう変化を許容する前提で作られているから、書く前に構えなくていい。

ノートを使い続けられない理由の一つは、最初の数ページをきれいにしようとしすぎることだと思う。トラベラーズノートは、外側がすでに使われることを受け入れている。だから中身も少し雑に始められる。

黒い革は、その雑さをうまく受け止める。

持ち歩く理由

スマホにメモすれば済むことは多い。

それでも紙のノートを持ち歩くのは、考える速度を少し落としたいからだ。画面に打ち込むより、ペンで書く方が遅い。その遅さの中で、言葉が少し選ばれる。

トラベラーズノートはポケットに入るほど小さくはないが、バッグに入れておくにはちょうどいい。持ち歩くことを前提にしたサイズで、机の上に広げても大げさにならない。外で開いても、仕事道具にも私物にも見える曖昧さがある。

この曖昧さが好きだ。

黒い革の注意点

黒い革は、手入れをしなくても成立するように見える。

実際には乾燥するし、擦れも出る。けれど、茶色の革ほど変化が派手ではないので、手入れのタイミングを見失いやすい。たまに布で拭いて、必要なら薄くクリームを入れる。その程度でも、質感はかなり変わる。

育てるという言葉は少し大げさかもしれない。ただ、毎日触るものに手の跡が残っていく感覚はある。黒はそれを大きく語らない。そこがいい。

黒であることについて

ブラックのトラベラーズノートは、金属のパーツも黒で統一されている。

ペンホルダーや連結ゴムなど、後から足せるカスタマイズパーツも黒が用意されている。全体を黒で揃えたいときに選択肢がある設計は、こういうプロダクトでは珍しくて助かっている。

毎日触るものに、毎日少しずつ記録が増えていく。それだけで、使い続ける理由になる。

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