White Mountaineering × Alpha Industries MA-1 ブラック、二つの黒が重なる場所。

White Mountaineering × Alpha Industries MA-1 ブラック、二つの黒が重なる場所。

フライトジャケットの原型を作ったブランドと、山岳ファッションを再構築したブランドが作った黒いMA-1。

MA-1には、黒が正しいと思っている。

オリジナルのセージグリーンやオレンジのライナーも、MA-1の象徴だ。それを承知で黒を選ぶのは、軍用ジャケットとしての出自より、服としての機能を優先しているからだ。White Mountaineering × Alpha IndustriesのMA-1は、その選択に正当な根拠を与えてくれた。

Alpha Industriesについて

Alpha Industriesはアメリカ空軍のフライトジャケット、MA-1の実際の製造業者として知られる。

1950年代から軍への納品を続けてきたブランドで、その素材と縫製は軍の仕様書から出発している。民間向けにも展開されてきたが、その設計思想は変わっていない。ナイロンのシェル、ニットリブ、フロントジッパーというMA-1の基本形は、Alphaが作ったものだ。

White Mountaineeringについて

White Mountaineeringは相澤陽介によるブランドで、マウンテニアリングウェアのディテールをファッションに持ち込んでいる。

山岳用の機能を街に持ち込むというコンセプトは、アウトドアブランドとは異なる立ち位置だ。素材の選択とパターンの精度において、ファッション的な判断が優先される。コラボレーションの相手を選ぶ際も、機能と美学の両方に根拠があるブランドに限られている。

二つのブランドが作る黒

Alpha Industriesの黒は、軍用の実用から生まれた黒だ。

White Mountaineeringの黒は、ファッション的な文脈で選ばれた黒だ。この二つが一つのMA-1に重なる。素材はAlphaの正統な仕様に沿い、シルエットとディテールにWhite Mountaineeringの解釈が加わる。どちらの黒も自分の根拠を持っているから、コラボの結果が濁らない。

ブラックのMA-1は、ライナーのオレンジがない分、着たときの主張が落ちる。裏返しにしたときだけ見える黒い裏地が、内側の完結感を与えている。

MA-1の難しさ

MA-1は、簡単な服ではない。

シルエットに厚みがあり、肩と袖にボリュームが出る。合わせ方を間違えると、服だけが前に出る。特に黒いMA-1は、上半身に大きな黒い塊を置くことになるので、全体のバランスが重要になる。

White Mountaineeringの解釈が入ることで、その難しさが少し整えられている。ミリタリーの原型を残しながら、街で着るための線に調整されている。単なる復刻ではなく、着るための再設計になっているところが良い。

インナーとの関係

黒いMA-1は、中に何を着るかで印象が変わる。

白を入れるとコントラストが強く出る。グレーを入れると柔らかくなる。黒を重ねると全体が沈む。どれも成立するが、このジャケットの良さが出るのは、黒を中心にしつつ素材の差で変化を作る合わせ方だと思う。

ナイロンの黒、コットンの黒、レザーの黒。それぞれの質感が違うから、黒一色でも単調にならない。

着る黒

MA-1は厚くて重い部類のアウターだ。

それが黒だと、シルエットの塊感が服の主役になる。黒いアウターとして着るとき、それ以外の服を引き立てることも抑えることも選べる。合わせるものを選ばない黒のMA-1は、クローゼットの中で定位置を持ちやすい。

フライトジャケットとしての出自と、日本のファッションブランドの解釈。その両方を黒が繋いでいる。

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