Adidas Stan Smith Lux ブラック・カーボン、レザーが詰まった黒。
アッパーからライニングまですべてレザー。スタンスミスの上位版は、黒で選ぶとその素材の密度が際立つ。
アッパー、ソール、すべてが黒。オールレザーのトリプルブラックAF1は、完成した黒いスニーカーとして成立している。
Air Force 1 に白いソールは必要ない、と思った時期がある。
シルエットは好きで、ボリュームのあるフォルムは足元に存在感を作る。ただ白いソールが地面に近い位置で主張するのが気になっていた。トリプルブラックのオールレザーモデルを見たとき、これだった。
アッパーがレザーであることは、キャンバスのAF1とは別の道具感を生む。
革は使うほどに表情が変わる。黒いレザーはその変化が派手でなく、馴染みと深みとして出てくる。スニーカーを育てるという感覚は、キャンバスより革の方が強い。
レザーのAF1は雨にも強く、布製より汚れを拭き取りやすい。黒いレザーは汚れが目立ちにくく、軽く拭くだけで清潔感が戻る。毎日履く選択をしたとき、メンテナンスの手間が少ない靴は続けやすい。
アッパー、ミッドソール、アウトソールがすべてブラックで揃う。
AF1のシルエットはソールに厚みがあるため、白いソールだとその厚みが主張する。黒いソールはその主張を抑えて、靴全体がひとかたまりとして見える。足元の黒が地面の色に近いほど、靴の存在感の出方が変わる。
Air Force 1は軽い靴ではない。
ソールに厚みがあり、レザーもそれなりに硬い。歩き出した瞬間に、足元に質量があることはわかる。けれど、その重さが悪いとは思っていない。黒い服に合わせたとき、足元が軽く見えすぎないことがむしろ効いてくる。
細いスニーカーやランニングシューズの黒は、軽快さが前に出る。AF1のトリプルブラックはそれとは違って、地面に近いところで重心を作る。黒いパンツと合わせたとき、靴だけが浮かず、下半身のシルエットが一つにつながる感じがある。
黒いスニーカーは何にでも合う、と言われる。
ただ、実際には形による。スポーティすぎる黒は服装を選ぶし、革靴寄りの黒はカジュアルな服に重すぎることがある。AF1はその中間にいる。スニーカーとしての軽さは残しつつ、レザーとボリュームで道具感を持っている。
黒いTシャツ、黒いパンツ、黒いバッグ。その中に置いても違和感がない。逆に白い服に合わせると、足元だけが沈む。その沈み方を意図できるなら、黒いAF1はかなり使いやすい。
オールブラックの良さは、汚れに鈍感でいられることだ。
白いスニーカーは汚れた瞬間に手入れの必要性が目に入る。黒いレザーは、少しの汚れなら表情として受け止められる。もちろん放置すれば劣化するが、毎回神経質に拭き続ける必要はない。
軽くブラシをかけて、必要なときだけクリーナーを使う。そのくらいの距離感で履けることが、日常靴としては大事だと思っている。
同じAF1で白を持っている人と黒を持っている人では、恐らく靴への態度が違う。
白は見せるための靴で、黒は履くための靴だと感じている。これが正しいかどうかはわからないが、黒いAF1を選んでから、靴を意識する頻度が下がった。意識しなくていい靴が、一番よく履く靴になった。